その手で触れて確かめて
第13章 雨の日に恋をして ( A × N )
雅「そんなやつ、聞いたことねぇよ?」
けらけら笑う相葉さんに、
真面目な顔を向けた。
「…俺、体弱いんだよ。」
雅「へ…?マジ?」
「割れやすいガラスで出来てんの。」
ハートもね?って、
付け足してやろうとしたけど、
笑えなくなりそうで止めた。
雅「…やっぱ、俺が奢ってやるよ、パンケーキ。」
相葉さんは、笑いながら俺の頭をぽんぽんと叩くと、
奥へと消えていった。
傘を持たなかった俺は、
相葉さんが出てくるのを裏口で待っていた。
雅「店の中で待ってれば良かったのに…」
と、相葉さんは1個しかないビニール傘を広げた。
雅「しかも、濡れてるし…」
ポケットに手を突っ込み、ぐしゃぐしゃに丸めたハンカチを取り出す。
雅「あ…ヤベ…」
そう言ってまた、ポケットに戻そうとする手を掴み、
相葉さんの手からハンカチを奪い取った。
「いいよ、貸して?」
そして、奪い取ったハンカチで濡れた髪や服を拭き、
「はい。」
その、ぐしゃぐしゃなままの、濡れたハンカチをまた、相葉さんの手の中に戻した。
雅「お前なあ…」
俺は、
呆れ返って、小言を言いかけた相葉さんのその手を、
ぎゅっと握りしめた。
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