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その手で触れて確かめて

第13章 雨の日に恋をして ( A × N )



呆けたように俺を見つめる相葉さんに、



思わず吹き出してしまった。



「ほらぁ、早く、行こ?腹減っちゃったよ!?」



母親の手を繋いだまま駄々をこねる小さな子どもみたいに、



繋いだ手をぶんぶん振り回した。



雅「えっ!?あ、そ、そうだね?」



相葉さんは、ちょっと待って、と言いながら手を離し、



傘を開いた。



「うわぁ、傘、ちっちゃ!!」



相葉さんにしがみつくように傘の中に収まる俺。



雅「ちょっ…!あんま、くっつくな、って!?」


「えー?だって、くっつかないと俺、濡れちゃう。」


雅「少しぐらい濡れたから、って死にゃあしないよ?」


「さっき言ったでしょ?雨に濡れたら死ぬかもしれない体質だ、って!?」


雅「だから、聞いたことないって!?そんな話?」


「知らないの?100億分の1の確率で発症するんだって?」


雅「…マジ?」


「…うん。」



真面目な顔して聞いてくるから、



真面目な顔で返してやる。



雅「それ…治るの?」


「…一応。」


雅「どうやったら治るの?」


「それは…」





傘を持つ相葉さんの手に、


俺は静かに手を重ねた。






「やっぱり、俺を雨に濡らさないことだよ?」



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