その手で触れて確かめて
第13章 雨の日に恋をして ( A × N )
雅「に、した、って、くっつきすぎじゃ…」
突然、落ち着きがなくなった相葉さんに笑いが止まらない。
「えー?俺が生きるか死ぬかの瀬戸際なんだよ!?そんなこと言ってる場合?」
雅「いや、だ、だから…その、生きるとか死ぬとか、ってのがホントなら…」
「だから言ってんじゃん?」
でも、相葉さんは何だかんだ言いながら、
俺の肩が濡れてないか覗き込んで、俺が濡れないように傘の位置をずらしてくれた。
「…ありがと。」
雅「だって、俺のせいで死んじゃったら困るし。」
真っ赤な顔で、鼻の下を擦りながらふっと顔を逸らした。
雅「あのさ…」
「うん。」
雅「どうなったの?あの人とは…」
「…別れた。」
雅「別れ…えっ!?」
「俺、修羅場とか、面倒くさいのキライなんだよね?」
雅「イヤ、だって、好きだったんじゃないの?あの人のこと?」
「好きだったよ?でも、さ…」
相葉さんの体温を感じながら、
握った手から流れ込んでくる相葉さんの優しさを感じながら、
俺は、傘を持つ相葉さんの手を強く握り直した。
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