その手で触れて確かめて
第14章 インクルージョン (A × O)
だから、といって、
先生と生徒がこんなところに一緒にいていい、ってことにはならない。
「そんなのダメだよ。戻らないと…。」
雅「だって、俺、苦手なんだよね?」
彼は僕の横に足を抱えて座った。
雅「俺のこと心配してくれるのはありがたいんだけど…」
どういうこと…?
雅「別に、櫻井のことはキライじゃないんだけどさ…」
え?
翔くんの…
翔くんの授業、サボってここに来た、ってこと?
「…キライじゃないならなおさらだよ!?」
雅「あ…あの…。」
思わず立ち上がって彼を上から睨み付ける。
「授業をサボる理由にはなんないからね?」
雅「そ、そりゃそうだけどさ?」
僕の剣幕に気圧され、尻込みする彼。
僕は、立ち上がって彼の手を掴んだ。
「今からでも遅くない!!戻ろ?」
雅「え…で、でも…。」
しばらく、すったもんだを繰り返す。
「ほら!!立って!!早く!!」
雅「ちょっ…待っ…」
翔「…大野先生の言う通りだ。」
「翔くん?」
雅「げっ!?さ、櫻井……」
いつのまにか、
腕組みした翔くんが僕らの後ろに立っていた。
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