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その手で触れて確かめて

第1章 白雪姫 (A × O)



「うっす、雅紀。」


「ああ、准一か。おはよう。」


「何だはないだろ?小学校からの腐れ縁なんだから。もっと愛想よくしろよ?」


「お前が馴れ馴れし過ぎるんだよ?親父さん、警視庁のエリートだろ?もっと、それらしく振る舞えよ?あっ!?か、返せ!!」



岡田は、俺の分厚い眼鏡を奪い取ると、


ふざけ半分にかけて見せた。



「返せ、って。マジで見えねえんだから!?」


「…なあ、雅紀、ここ、男子校だよな?」


「は?何言ってんだ?」


どうしたのか、と、


岡田の目線を辿っていくと、


あの、光を纏ったような綺麗な顔に行き当たる。



「ふーん、アイツ、大野…っていうのか?」



席が教壇に程近い一番前、ということもあって、


教室のどこに、なんという名前のヤツが座っているかが人目で分かるように、席順表が置いてあった。



「大野、って、あの大企業の大野のボン、ってことかな?」


「さあ…?」



努めて平静を装ってみるが、


身体中の熱が顔に集まっているみたいに熱くて、



後ろを振り返ることができなかった。



「ちょっと俺、行ってくるわ。」


「行く、って?あっ、ちょっ!」



岡田が放り投げた眼鏡を慌ててキャッチした。



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