その手で触れて確かめて
第14章 インクルージョン (A × O)
「どうしたの、そんな汗だくで?」
相葉くんは、汗を拭いながら、制服の胸ポケットから何かを取り出した。
雅「これ、あげる。」
「え?」
相葉くんは僕の手を取り何かを握らせた。
雅「第2ボタン。先生にあげる。」
「は?え?ちょっと…!」
雅「俺、こう見えても結構モテんの。死守すんの大変だったんだから。」
相葉くんは笑いながら、僕の体を抱きしめてきた。
雅「先生…俺、ちゃんと卒業したよ?」
「う…うん。」
雅「今日から名前で呼んで?」
「あ…じゃあ、雅紀…くん?」
雅「先生のことも名前で呼んでいい?」
「いや…え…と…」
雅「大野さん?」
「は、はい。何ですか?」
雅「ぶっ!敬語!」
「だ、だって…」
雅「…学校の中じゃ呼びづらいか…」
「そうじゃなくて…」
雅「じゃ、帰ろ?」
僕は、目の前の書きかけの絵に視線を移した。
「ゴメン。これ、早く仕上げないと…」
雅「じゃ、待ってていい?」
「いいけど?まだ、かかるよ?」
雅「へーき。今日、バイト休みだし。時間あるし。」
「そ。」
雅「ね、大野さん。」
「はい?」
雅「キスしてもいいですか?」
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