その手で触れて確かめて
第14章 インクルージョン (A × O)
―数ヵ月後―
翔「…デカ。」
翔くんは、僕の手から無理矢理奪い取っておきながら、
今は、翔くんの手の中でキラキラ輝いているものを見て呟いた。
翔「…しかし、こうもデカくてあんま光らない、ってのもどうか、と思うけど…。」
「光ってるじゃん!?」
翔「太陽の光で、ね?」
「悪く言うなら返して。」
翔「相葉の給料の三ヶ月ぶんだって?」
「別にいいじゃない?気持ちなんだから?」
と、翔くんの手からようやくそれを奪い返した。
翔「まあ、この大きさで、相葉の給料で買えるもんなら仕方ないか。」
翔くんは、僕に奪い返されたものを目で追いながらため息をついた。
翔「で、それ、どうすんの?」
「どういう意味?」
翔「どこで活躍すんのかな?と思って?」
「肌身離さず持ってるの。」
と、シルバーのチェーンにそれをするり、と通し、
洋服に隠れて見えないように首にかけた。
翔「そんな内包物で真っ白なダイヤモンド、初めて見たよ。」
「いーの!!」
翔「…どっちみち天然だからしょうがないか。」
「何か、言った?」
翔「別に?」
「相葉くんの悪口、言ってたでしょ?」
翔「どっちもどっち、って言っただけですけど?」
「やっぱり、悪口じゃん!?」
僕は、笑いながら逃げてゆく翔くんの後を追いかけた。
『インクルージョン』end.
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