その手で触れて確かめて
第15章 続・honeyすうぃーとな俺たち。(O × N )
智「カズ、ここ?」
「そうですよ?」
次の休日。
俺たちは約束通り、
潤くんと下見に行った例の可愛いペンションにやって来た。
智「絶景の釣り場、って聞いたけど?」
「はい。」
ペンションの主に案内されて、
二階の部屋に入った途端、
智「うおっ!?カ、カズ、海がっ!海が近ぇ!!」
テンションが上がって、身を乗り出して海を覗き込む智。
早く釣りがしてぇ、と、釣りざおを降りおろす真似をする智を見て、
間違っても、ベランダから釣りをしないで下さいね?と主が釘を刺す。
智「何が釣れんのかなあ…?」
寄せては返す波の音に、智のテンションは上がるばかりで、
主の、非常口はここで、消火器はここで、などの話は一切耳に届いてなくて、
鼻唄を歌いながら、ベランダで頬杖をついてはるか遠くを眺めていた。
智「えっ!!船に乗せてもらえるの?」
「特別らしいよ?」
智「やった♪今日は早く寝なきゃ。カズも行くんでしょ?」
「俺、行かない。」
智「何で!?」
「俺、酔いやすいから。」
智「え〜付き合ってくれる、って言ったじゃん!?」
「俺を殺す気?」
などと、すったもんだを繰り返した挙げ句…
「ぎもぢわる…」
俺は、船上の人となった。
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