その手で触れて確かめて
第18章 お二階さん (S × O ver.)
ドアの閉まる音を確認してから、
自分の部屋を出てからずっと無視してた携帯を確認した。
…やっぱり。
着信履歴にずらっと並ぶ同じ名前。
しかも、きっちり五分ごと。
翔くんが悪いんだからね?
と、そのまま電源を落とそうとした時、電話が鳴った。
し、翔くん!?
電話を切ったつもりだったのに、突然の翔くんからの電話にテンパってた僕は、
翔『も、もしもし智今どこ?』
通話状態にしてしまっていた。
翔『もしもし?聞こえてんだろ?俺も今からそっち行くから、場所、教えて?』
「…教えない。さっき一緒にいた女の子のとこにでも行ったら?」
翔『頼むよ、智。あれは相談にのってもらっただけなんだ、って?』
「ふーん?それにした、って、あれ何?仲良く腕組んで買い物してたじゃん?」
翔『いやっ…だから、それは…』
途端に歯切れが悪くなる翔くん。
「どーぞ、彼女と末永くお幸せに!!」
翔『あっ!!ちょ、智、待っ…』
翔くんとの会話を強制終了させた僕は、携帯をクッションの下に押し込み、カズんちの冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し喉を潤した。
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