その手で触れて確かめて
第18章 お二階さん (S × O ver.)
あ、そうだ、と、翔くんはポケットからスマホを取り出した。
翔「写真撮ろう?」
「う…うん。」
促されるままポーズと笑顔を作る。
よく撮れてる、と、得意気に写真を見せてくるけど、僕のモヤモヤは晴れないまま。
素直に喜べないでいた。
「あ…あの、翔くん?」
翔「うん?」
「あの女の子、本当に…」
翔「信用できない?俺のこと?」
唇を噛みしめ無言で頷く。
すると、俯いた僕の視界に翔くんの手が伸びてきて、僕の左手に触れた。
翔「見て、智。この指輪さ、ホワイトゴールドとイエローゴールドのコンビネーションになってるんだ。」
「だから?」
翔「金色が銀色を囲むようなデザインになってるのもポイントでさ、この銀色が智で金色が俺。で、俺の方がその逆になってるんだ。」
ほら、と、僕の左手に翔くんの左手がふわりと重なる。
「あ、ホントだ!色違いになってる。」
翔「だろ?つまり、互いが互いを抱きしめてる、って感がしない?」
得意気になってる翔くんの顔を見たら、何だか可笑しくなってしまって、つい吹き出してしまった。
翔「な、何?」
「だ、だって、それ、今さっき思い付いたでしょ?」
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える