その手で触れて確かめて
第19章 俺のアニキ(M × S )
潤side
俺には兄貴が二人いる。
一人は、生まれた時からずっと一緒にいるけど、もう一人は後になって俺の目の前に現れた。
何でも、父さんが外で作ったって子供らしくて、所謂、「愛人の子」って奴だ。
でも、後でソイツが愛人の子でも何でもなくて、
ソイツの母親も、父さんの最初の結婚相手で、智の母親であることも分かった。
俺がソイツと初めて会ったのは小4の秋。
名前を呼ばれて振り向くと、父さんが当時の智と同じぐらいの少年と並んで立っていた。
誰なんだ?ソイツは?とばかりに、一番上の兄貴の智とアホみたいな顔で見ていたら、
「お前たちの兄弟の翔だ。」
ほら、と、ソイツの体を前に押し出した。
は?兄弟?
妻子がいる、って知ってて父さんの囲われ者になった女の子供、ってか?
ソイツの母親が死んで身寄りがないから引き取った、ってワケかよ?
でもって、俺らはソイツを兄弟だから、って仲良くしてやらないとならないのかよ!?
冗談じゃねぇ。
俺は体のありとあらゆる場所から沸き上がる得たいの知れないどす黒いものを丸出しにしてアイツに相対した。
でも智は違った。
智は二人に歩み寄り、父さんの顔とアイツの顔を見比べていた。
そして、アイツに向き直り、弾けるような笑顔を見せ握手を求めたんだ。
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