その手で触れて確かめて
第19章 俺のアニキ(M × S )
もしかして、アイツ、智のこと…
智も……もしかして、アイツのこと…
芝生の上に座ったまま終始アイツと楽しそうに談笑する智を見ると息が詰まりそうになる。
お願い、アイツに笑いかけないで。
お願い、アイツとは喋らないで。
やがて立ち上がり、笑いながらアイツの肩をぽんぽんと叩くと、智は家の中へと消えていった。
アイツには触らないで……!
お願い……智!!
一人、その姿を目で追い続けるアイツの顔は遠目でも分かるぐらいに赤くて、
まるで、初恋の相手でも見るような目で智のことを…
全身の毛穴から吹き出した汗が体の体温を奪い去ってゆく。
心が、物凄い早さで冷えてゆく。
…思い知らせてやる!!
あの、身の程知らずに!!
しばらくして、ヤツが振り返りこちらを見た。
は…なんて顔してんだ?
好きな人が気まぐれに声かけてきたのを、もしかして自分に気があんじゃねぇか?って勘違いしてるみたいにニヤけやがって!?
…ムカつく。
「いい気になんなよ?愛人の子供のくせに。」
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