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その手で触れて確かめて

第19章 俺のアニキ(M × S )



翔side


「えっ?潤たち、そっちにも行ったの?」



クリスマスも終わり、慌ただしい年末の準備に追われる中、



海外に移住した智から電話がかかってきた。



智『そうなんだよ?相変わらずウザいったらありゃあしない。』



時々、波の音に混ざって「来た」とか独り言を言ってる辺り、また、釣りでもしてんだろ?と嘆息した。



智『いくら日本じゃない、とは言え、よくあんな人前でイチャつけんな?って、ホント感心するわ。』


「…そうだね…」



呆れ気味に言う智に、本気の別れ話が出てたなんてウソみたいだな?って、俺も頷いた。



智『あ、そう言えばアイツら、お揃いの指輪してたぞ?』


「え?マジ?」


智『て、ことは新婚旅行か?って茶化してやったら「羨ましいだろ?」ってさ?んな訳あるか、ってね?』


「へぇ…」



あの日、家出した潤を迎えに来た雅紀にただならぬものを感じた俺は、渋る潤を家から叩き出した。



それが、どこでどうなったのか突然二人揃って海外へ。



しかも、お揃いの指輪?



突飛すぎてホント訳わかんねぇわ。



智『で?お前は?』


「え?俺?」


智『澪とケンカした、って…』


「俺のことはいーじゃん?」


智『どうせ、下らない理由なんだろ?』


「下らなくない、って!澪のやつ、あんなダサい靴下買ってきやがって!」


智『…じゃ、俺、そろそろ切るな?』


「あっ!!待っ…何だよ、自分から聞いといて切る、って?」


智『そんな話、犬にでも食わせてやれ。どうせ食わねぇと思うけど?じゃ…。』



智は会話を強制終了させてしまった。

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