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その手で触れて確かめて

第19章 俺のアニキ(M × S )



潤side


いつにも増して翔にものすごい剣幕で怒鳴られ、家を追い出されてしまった俺は、



自分の兄貴たちがそんな会話をしているなんて露ほども知らず、雅紀を問い詰めていた。



雅「潤…この通りだ。俺が悪かった。」


「…もう、聞き飽きた。」


雅「今度からはあんな手落ちがないようにするから。な?」


「…って、言いながらまた同じこと繰り返すんじゃないの?」



一つ大きなため息をつき、足元で平伏す雅紀を無視するように椅子から立ち上がった。



「ねえ、そんなことよりお腹すかない?」



冷蔵庫を開けるも、帰国してからは買い物にも行けずじまいで、空っぽのままだった。



頭を冷やしがてら、買い物にでも行くか。



雅「ど、何処に行く?」



コートを羽織る俺を見て、雅紀が泣きそうな顔になった。



「…買い物。冷蔵庫、何もないから。」


雅「ま、待て!俺も行く。」


「…いいけど?」



追いかけてきたはいいけど、雅紀は、俺から少し遅れて付いてきた。



「寒っ…。」



手近にあった薄いコートを羽織っただけのカッコだったから、夜の身も凍る寒さはさすがに堪えた。



このままだと、帰るまでに風邪引きそう。



冷たく透き通った冬の空気に輝く星空を見ながら小走りで夜道を急いだ。



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