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その手で触れて確かめて

第19章 俺のアニキ(M × S )



翔side



新年の仕事始め。



名だたる企業の事業主が集い行われる賀詞交換会の場に俺はいた。



社長の座について早三年。



松岡の下に入ってからも三年。



俺はずっと松岡の傘下から抜け出す近道を模索し続けていた。



だから、毎年仕事始めの賀詞交換会は絶対に外せない。



もしかしたら、松岡の傘下から抜け出すヒントが転がっているかもしれないからだ。



でも、残念ながら俺から受け取る名刺の肩書を目にした途端、皆一様に顔を強ばらせ、形ばかりの挨拶だけ済ませると足早に立ち去った。



一人二人、俺の話に真剣に耳を傾けてくれる人はいるにはいるが、まだ若いからチャンスはいくらでもあるからとか、大人しく飼い慣らされていた方が身のためだとか、今の俺が求めているヒントをくれる者は誰一人としていなかった。



そして今回も、



参加者一人一人に声をかけ名刺を交換したが、残念ながら収穫はなかった。



元々気の進まぬ集まり。



このままここにいても時間のムダだ。



帰ろうと踵を返した時、晴れやかな笑顔で談笑する背の高い男と出くわした。



雅紀だった。



しかも正月早々、また性懲りもなく潤とケンカをし潤が出戻ってきたことで平和が戻りかけた我が家の正月を台無しにされた。



完全にブチ切れた俺は、雅紀と仲直りするまで実家の敷居は跨ぐな!と、潤を叩き出した。



その潤が帰ってからのあの笑顔。



これは恐らく…イヤ、間違いなくあのあと…




ヤってるに違いない。(←笑)



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