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その手で触れて確かめて

第19章 俺のアニキ(M × S )



俺はそろそろ帰ろうとホールから抜け出し、そこに待っているはずの二宮の姿を探した。



あれ、トイレにでも行ってんのかな?



急に手持ち無沙汰になった俺は喫煙所に向かい、タバコをくわえた。



だがポケットに入っているはずのライターが見当たらずあちこちのポケットを触りまくっていると、火を点したライターが俺の目の前に差し出された。



「あ、すいませ…」


雅「どういたしまして。」



驚きのあまり噎せて咳き込んでしまった。



「脅かすなよ…」


雅「俺と話したそうだったから。」


「ああ。あれから潤とどうなったか気になって…でもその様子じゃ仲直りしたんだろ?」


雅「何で分かった?」



黙っていればイケメンやり手実業家で十分通る筈の雅紀。



だがそれが潤の名前を聞いた途端、顔がイケメンの面影を少しも残すことなく崩れさる。



雅「まあ、曲がりなりにも指輪を交わした仲だ。俺と潤の仲はどうしたって崩れるはずはない。」



そう言うお前の顔は見る影もなく崩れてるけどな?



まあ、これに懲りて潤も少しは忍耐強くなってくれたら…






が、その数日後。



遥か南国に居を置く智から一本の電話が。



智『おい、翔!どうしてくれんだよ!!潤のやつ、お前が家の敷居を跨がせない、なんて言ってっから俺んとこきた、って言ってるぞ?』



なんて言うから、前に智が俺にさらっと言ってのけたあの言葉をそっくりそのまま返してやった。



翔『潤は可愛い可愛い俺らの弟なんだからさ、目、瞑ってやれば?』


智『………。』



「俺のアニキ」end.

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