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その手で触れて確かめて

第20章 Birthday Present



翔side


持ち帰った仕事に区切りを付け、一息つけようと立ち上がった時、俺のスマホが鳴った。



智『もしもし、翔?俺だけど?』



電話の向こうから聞こえてくる懐かしい声に、つい口許が緩む。



懐かしい、と言っても、半年ぐらい前に会ったばかりだけど。



「どうしたの?」


智『もうすぐ潤の誕生日だろ?』


「あ、ああ…」



忘れてた……。



智『何やんのかなあ?と、思って。』


「そうだなあ…」


智『お前にやったのと同じでいいかなあ?』


「えっ!?」



もしかして……アレ?



智『ちょうど大物が釣れたんだよなあ。』


「いや…あれはやめたほうが……。」



俺が言葉を濁すと、智は不機嫌を露にした。



智『何だよ?あんな大物、そうそう釣れないんだぞ?』



いや、知らないけど(汗)



「とにかく、他のものにしたら?何なら本人に聞くとか?」


智『ふーん…分かった。』



じゃあ、そうする、と、やはり智は不機嫌そうに会話を終えた。



納得してないようだったが、あれは無いだろ?と、ため息をついた。



そう、今年の俺の誕生日に智がくれたもの、



それは、智渾身の魚拓だった。



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