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その手で触れて確かめて

第3章 歪な夜の夢 (O × S × M)



暗さに段々目が慣れてきて、



キスを交わすような水音とともに聞こえてくる艶っぽく忍び笑う声と、衣擦れの音をたてる主が暗闇に浮かび上がる。



その中の一人が、


俺が起き上がって、こちらの様子を伺っている様子に気づき、


もう一人の耳元でナニやら囁いては、


クスクスと忍び笑う。



な、何…?



上に重なっていた影が体を起こし、ゆっくりとベッドを降りた。



近くに落ちていたシャツを拾い上げ羽織ると、



ボタンを留めながら、


乱れた髪を直すように頭に手を翳しながら、




段々と距離を縮めてきた。



その影が、動けないでいる俺の間近まで来ると、


膝まづき、顔を覗き込みながら髪を撫でた。



「ごめん、起こしちゃった?」



低めの艶っぽい声。



「お酒飲んでたら、気持ちよくなりすぎて、我慢できなくなって…」



ふふっ、と笑った、と思ったら、



頬を挟まれ、唇に温かくて柔らかいものが押し付けられた。



「何?どうしたの?そんな顔して?」



名残惜しそうに、離れていった唇が問う。



「だっ…て…。」



背後を覗き込むように伸び上がる。



「そんなによく見なくてもあの人、俺らの兄さんだよ。」


「兄さん…?」


「久しぶりだったからちょっと疲れちゃったみたい。」



と、髪を掻き上げながら気怠そうに笑った。



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