その手で触れて確かめて
第3章 歪な夜の夢 (O × S × M)
「あの…久し振り…って?」
「ん?ああ…」
一瞬、妖しげな笑みを浮かべて、ふっくらした唇に指先を当て、何やら考える風な仕草をすると、
俺の手を引き立ち上がった。
「じゃあ…ちょっとおいで?」
途端、フワリ、と漂う、
この人のとは違う、別の香り。
それだけで、その香りの主とこの人が、さっきまで何をしていたのかを、
イヤでも想像してしまう。
「やっぱ、起きちゃってたみたい。」
ベッドの上に寝そべったまま、こちらを伺う人物に声をかけた。
「…だから言ったろ?やめろ、って?」
「自分だって、結構積極的だったじゃん?」
「……溜まってたんだよ。」
体を反転させ、背中を向けてしまった。
「…で、何?」
「何、って?」
「何で潤、連れてきてんだよ?」
「だって、何してたの?って聞いてくるから…」
「口で説明すりゃ分かんだろ?何で連れてくんだって!?」
「いや、だって仲間に入りたそうだったし…」
「え…?俺は…別に…。」
「2人より、3人の方が楽しくない?」
さっきまで、
不貞腐れて、背中を向けていた智がこちらを向く。
「ふーん。じゃ、翔、お前が俺と潤の相手、してくれる、ってこと?」
智の綺麗な顔が、
薄明かりに妖しく歪んだ。
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