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その手で触れて確かめて

第3章 歪な夜の夢 (O × S × M)



「つっ……!!」



翔が顔をしかめたのも束の間、


智の赤い舌が、首筋に滲んだ血を絡めとるように、這い回る。



「しょっぺぇな…。」



そう呟きしかめた智の顔を、翔は振り向き、まるで、大切な何かを持ち上げるかのように両手で包み込んで、



上向かせ、口づけた。



「ホントだね?俺らの味がする。」



ゆっくり唇を離しながら、翔はフフっと笑った。





2人の中に流れる、半分だけ同じ顔を持った赤い血液。



2人にあって、自分にはない、



彼らだけにしかない絆、という名の、赤い糸。




まるで、細くて鋭い針に胸を刺されるような感覚に、


唇を噛みしめた。





そうしている間にも、胸元の肌理を確かめるかのように這っていた智の手が下へ降りていって、



腿の内側に滑り込む。



「あっ…」



その手から逃れようと体を捩らせながら、翔は、制するように智の手を掴んだ。



智は、翔の手を煩そうに払い落とすと、片足を腿の内側に挟み込み固定する。


「やっ…!何すっ…!」


突然、翔の体ががくり、と前に傾く。



「何する、って、お前さ、今さらなんだけど?」



腿の内側に滑り込ませていた手を、まるで俺に見せつけるかのように智が掲げる。







その指先からは透明な雫が滴り落ちていた。



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