その手で触れて確かめて
第3章 歪な夜の夢 (O × S × M)
先の情事で敏感になっていた翔のカラダは、
僅かな刺激でさえも、それだけで達するかも知れないぐらいの快感として伝わるらしく、
その場所に、少しの間触れていただけなのに、
智の指先を濡らしていた。
「だっ…て…」
戸惑うような、熱を含んだ目で智を見つめる翔に、
欲情した、というよりは、
嫉妬に近い感情に支配されてゆく。
…何だよ、
アンタ、智の弟である前に俺の兄貴だろ?
何でそんな目で智ばっかり見てんだよ!!
何で智に抱かれてんだよ!?
何で…!!
勝ち誇ったように笑う智と目が合う。
俺の顔を見ながら、
翔の顔を引き寄せキスしながら、
ここまで来いよ、と、
来るなら来てみろと笑う。
上等だよ。アンタに越えられて、
俺に越えられないわけがねぇよ…
自分の体を這う指の感触に恍惚の表情を浮かべる翔の肩を掴んでこちらに引き寄せる。
瞳を潤ませ、しどけなくほどかれた唇のままの顔を見た時、
自分の中で、辛うじて保っていたものが、
音を立てて、崩れた。
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