その手で触れて確かめて
第3章 歪な夜の夢 (O × S × M)
その後の記憶はひどく曖昧で、
覚えてるのは、
驚き見開かれた翔の目が俺を見上げてて、
俺の手が、翔の両手首を顔の横で押さえ込んでいたことだった。
「あんま、見せつけないで欲しいんだけど?」
「じゅ…」
「誘ってくれたよね?」
抵抗されないと知るや、
翔の両手を解放しその両手で顎を持ち上げる。
「でも、3人一緒、ってのは、ヤだなあ。」
一瞬、翔の目が智の方に向けられる。
が、顎を掴み直すようにして、顔がこちらに向くよう押さえ付けた。
「どこ見てんの?」
悔しそうに結ばれた唇をなぞる。
「智も俺も、同じ、アンタの兄弟なんだけど?」
そう、
半分だけの。
「ズルくない?智ばっか。」
後ろで智が忍び笑う。
「何だ?ヤキモチか?」
「悪い?」
「全然。」
智は、近くに落ちていたシャツを羽織りながら、
ソファーに座った。
「俺は全然構わないけど、翔、怖がってんぞ?」
「怖がってねーし!!」
智に気を取られている隙に、
翔に腕を払われる。
「…いいよ!分かったよ!」
襟を掴まれ、間近で低く囁かれる。
「アノ人ん時と同じようにすればいいんだろ!?」
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