その手で触れて確かめて
第1章 白雪姫 (A × O)
あの後、王子役を募ると、
クラスの半数以上のヤツらが立候補し、
黒板にアミダくじを作ろう、という騒ぎになって、
あろうことか、現時点で一番ヤバいと思われるヤツ、
そう、自称大野智の親友にして俺の悪友、
岡田がその幸運に与ることとなった。
「えっ!?オレ?マジかよ〜?」
…岡田、白々しいから。
それにしても、コイツの悪運の強さといったら…。
それから数日後、大野智の手元には六法全書ではなく、
白雪姫のシナリオが置かれていて、真剣な眼差しで見入っていた。
そして、時折、顔を上げては大きなため息をつき、
また、目を落とす。
王子役に抜擢され、浮かれまくっているだけの岡田とは対照的だった。
ふと、不意に彼が顔を上げてこちらを見る。
え…!!
「あの…間違ってたらゴメン。俺のこと見てた?」
「あ…、え…と…。」
「別にいいんだけど、さ?」
と、何事もなかったかのようにシナリオに視線を落とす。
「アンタも王子役に立候補したクチ?」
俺とは目も合わせずに話しかけてくる彼。
「えっ!?あ、俺は…」
「…やっぱ、男子校なんて、やめときゃよかった…」
「どうして…そう、思うのかな?」
恐る恐る聞き返す。
「だって、女子だけじゃなくて男子からもそんな目で見られてるみたいだし。」
…自覚してたのか…。
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