その手で触れて確かめて
第4章 戸惑う唇(O × S)
智side
その日の夜は、何だか無性に話がしたくなったのだと言って、
パジャマ姿の翔が俺の部屋のドアをノックした。
「何だかんだ言って、お前、ここで寝る気満々なんだろ?」
「へへっ♪バレた?」
おどけて見せる翔に呆れながらも部屋に招き入れた。
「それが、マジだったんだよ?」
「くっだらねぇな。で、どうなったんだよ?」
「それがさあ…」
などと、2人で下らない、どうでもいいような話をずっとしていた。
「ほーんと、何考えてんだか…眠い?」
「…ん?あ、ごめん、で?」
だが、段々と重みを増す瞼に敵うことなく、
とうとう睡魔に根負けしてしまって、ミニテーブルの上に顔をくっつけて寝てしまった。
それからあとのことは、朧気ながら、 翔にベッドまで運んでもらったところまでは、何となく記憶にあった。
そして、翔が同じベッドの中にいたことも。
本当は、
あの時、自分の部屋に帰れ、と、言うべきだったのかも知れない。
まさか、翔が、
自分の弟が、
あんなことをするなんて、
夢にも思っていなかったから………
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