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その手で触れて確かめて

第1章 白雪姫 (A × O)



「そう…だよな?男が男を、っていうのはやっぱり気持ち悪い…よね?」



2人っきりの教室で、


あの彼と向き合って話をしている。


普通だったら嬉しくて小躍りしたいぐらいなのだが…


話の中身が中身だけに、

素直に喜べない…



「まあ、女子がいないわけだし、仕方ないんだろうけどね?」



そう言って、整った顔を、綺麗な手のひらの上に乗せるように、


頬杖をついた。





ちらほらとクラスメートたちが教室に戻り始め、


昼休みが終わる。



昼休みになると、どこへともなく消えていた岡田も帰ってきて、


昼休みの間、その大半を教室で過ごしている俺に向かって、


毎日何が楽しくて教室に閉じこもっているんだ、と茶化された。





…まさか、あの、大野智と、少しでも長く同じ時間を共有したいから、なんて、


言えるはずもなく、



俺は岡田の言葉を無視した。





「はあ?キ、キスぅ?」



驚きなあまり、大声をあげた俺の口を岡田の武骨な手が塞ぐ。



「バッ、バカ!声でけぇよ!?」


「だっ、だって、今、キス、って…。」


「白雪姫の山場だろうが!?」



だ、だって、たかが劇とは言え、






岡田と大野智が…!




余りの衝撃に、


俺は撃沈してしまった。


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