Sinful thread
第2章 喪心
「バカ、当たり前だろ」
そう言って奏多がベッドに入った。
清潔感のある、二人で寝ても少し余裕がありそうなベッド。
先にベッドに入った奏多の隣に、あたしも潜り込んだ。
奏多が照明のリモコンを操作すると、部屋が一気に真っ暗になる。
肌寒い夜。
奏多の温もりが、あたしに伝わってくる。
……奏多が、葵だったらよかったのに。
そんなことを考えてしまう。
そしたら好きになったって、罪悪感を感じることもなくなる。
こうやって一緒に寝て、温もりを感じることだってできるのに……。
「あんまり一人で考え込むなよ。辛くなったらいつでも言ってこい」
いつの間にか奏多と向き合う格好になっていた。
少し暗闇に慣れてきた瞳に、真面目な顔の奏多が映る。
……今だって十分、辛い。
寂しい。
「……だったら、慰めて……」
「……は?」
「慰めてよ……」
心の隙間を、埋めてほしい……。
おかしいこと言ってるのはわかってるのに。
止まらない。
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