リモーネ
第4章 ツルバラ
なんだか、とっても疲れた。
まだ朝で、教室についたばかりなのに。
俺はそんなことを思いながら廊下近くの席でぐたりと机に体を預ける。
朝、家の門の前で俺を待ち伏せしていたかえで先輩と登校した。
なぜいるのか。と問いかけた俺に対してかえで先輩は笑顔で、
1週間のお試し期間だよ☆
と言った。
よくわからないけど、1つだけ分かったことがある。
恋人同士はめんどくさい。ということ。
そんなことを考えて今日からの1週間を憂う。
他になにも考える気にならなくて、廊下をぼんやりと眺めた。
最初は数人が歩いていただけだったが、途中で大きな人混みが通りすぎていった。
その集団の後の廊下をみると、何かぬいぐるみのようなものが落ちていた。
…くま…?
…!
まさかあれは!
くま助…!?
俺は思わず立ち上がって、くま助のもとへとかけよった。
何でこんなところにくま助が…?
(くま助とは、星那が大好きなくまのキャラで、マイナーであるためにファンが少ない)
さっきの人混みの中の誰かが落とした?
そう考えるしかないだろう。
誰にあったにせよ、くま助の持ち主をしりたい。
仲良くなりたい。
でも、探しようがないな…。
そんなことを考えながら廊下に立ち尽くしていると、突然大きな声が聞こえた。
「あ、それ!俺の!!」
驚いて、声のした方を見ると、俺より背が高く、
でもびっくりするほど可愛い…男子が立っていた。
「くま助…。」
俺がそう言うと、その人は大きなくりくりの目をさらに見開いて
「し、ってるの!?」
「知ってます!だ、いすきです!」
俺も、その人も感激のあまり言葉に詰まってしまった。
「ぉおぉぉ…お、俺…初めて…くま助知ってる人に会った!!」
「俺も、です!」
俺とその人は初対面だというのにお互いに両手を取り合って握手をする。
「あ、名前!何ていうの?」
「竜胆星那です!」
「リンドウセナ!(漢字ぜんぜんわかんないや)」
「はい!そうです!
あ、なたは?」
「おれ、凪!小松凪!
凪って呼んで」
「はい!
あ、俺は竜胆でも星那でもご自由に呼んでください!」
「お、じゃあ、セナ!よろしくな!」
「はい!よろしくお願いします!凪さん!」
「凪!」
「はい、わかりました。凪!」