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果てない空の向こう側【ARS】

第11章 果てない空の向こう側(智)

和也「懐かしいね。」

智「あ? うん。そうだな。父さんとよく来たな。」

和也「智兄は自転車こいで、俺は父さんの自転車の後ろに乗って。」

智「帰り道、お前自転車の後ろで寝ちゃって、父さんが片手で押さえながら走って帰ったこともあったな。」

和也「そんなこと、あったかなー。」

その時、和也の竿に当たりが来た。

竿を上げると小さなアジが引っかかっていた。

和也「わー、智兄、取ってよ!」

智「なんだよ、それぐらい自分で取れよ!」

和也「嫌だよ、生きた魚なんてさわれない!」

智「じゃあ、何で釣りなんかに来たんだよ!」

俺は和也の竿からアジを放すと、バケツに泳がせた。

本日初めての釣果に、ふたりでバケツの中のアジをしばらくまでながめた。

コマセカゴにコマセを詰め直して、再び糸を水面に落とした。

智「チューブのコマセでも釣れたな。」

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