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果てない空の向こう側【ARS】

第11章 果てない空の向こう側(智)

隣で釣りをしているのは、小学生ふたりを連れた家族連れだった。

父親が子供たちに釣り方を手ほどきしている。

母親は、それをにこやかにながめている。

俺たちは、そんな幸せそうな家族を横目に次の当たりを待った。

和「俺の小6の運動会さ、智兄見に来てくれたじゃん。」

智「ああ、雨で順延になって母さんが行けなくなった時な。」

和「順延したのが平日で、智兄自分も学校あるのに。」

智「あの日は腹の調子が悪くなって早退したんだ。」

竿を上げてみたら、コマセカゴが空になっていたのでチューブから追加する。

和「最後の演目の組体操、見に来てくれたよね。」

智「帰り道、腹が痛くて小学校でトイレ借りようとしたら、たまたま運動会だったんだよっ!」

和「またまた、そうやってごまかす…。」

和也の竿に当たりがあったので引き上げると、二匹のアジがかかっていた。

それを針から外してバケツの中に放つ。

アジはスイスイと泳ぎだした。

和「もういいんじゃない? 父さんの代わりしなくても。」

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