飴と鞭と甘いワナ
第7章 episode 2
A side
興奮状態だった
いつもなら、声を荒げるなんてしないのに
やっとにのを手の中に納められると意気揚々とその階段を上がった途端
「彼ならとっくに帰ったで」
面倒そうな、何の感情も見えない一言で
頭に血が昇ってしまった
ヒナからLINEを貰ってからまだ時間はそこまで経ってないのに
引き留めて置けって言ったのに
だからその時は何も考えられなくて、多分嵐の皆が聞いたらそれこそ驚くくらいに怒鳴ってしまったんだ
だけど
「落ち着けよ…」
冷静にたしなめられて、はっと気付いた時には
自分がここで怒鳴った処で何も進展なんてしない事を思い知らされて
「ごめん」
素直に謝罪の言葉を口にした
「…もしかしたら、また来るかもしれんで?」
オーナーである、ヤツからの意味深な台詞
こいつは、嘘は言わないのは長い付き合いで知っている
「だといいけどね」
ちょっと皮肉っぽく笑って、俺は階段を降りた
さっきの言葉
しばらくここで待ってみようと、決めさせた一言だった
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