飴と鞭と甘いワナ
第7章 episode 2
"ゴメンね"
俺に向けられたンじゃなく。
電波の向こうの…俺の知らない…いや、知ってるかもしれない…誰かへの"ゴメン"
「ン…じゃあ また」
澄ました耳にスマホを置く音。
「……カズ」
その囁く声に堪らず跳ね起きた。
「オマエ、馬鹿じゃないの?」
誰の誘いか知ンねぇケド…無下に断って。
今後の仕事に差し障ったら元も子もないだろ。
「やっぱり 起きてた」
得意気にニヤと笑う その口。
「"やっぱり"?」
「だってさ…何を盗み聞いてたのか知ンねぇケド…さっきから耳、赤いよ」
チョンと耳朶を突く指先。
まさかの地雷!!
バレバレだったのが急にこっ恥ずかしくて。
思わず身を縮めた俺を
「ビジネスの付き合いはするよ」
大きな手が引き寄せ
「公私のラインが曖昧過ぎたンだ、俺」
抱き竦められる。
熱い胸板に寄せた耳に響く相葉さんの鼓動。
そのリズムに耳を傾けてれば……
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