じんちょうげの花咲く頃
第7章 エピローグ ②
翔side
「確認なんだけど、ホントにこれでいいんだよね?」
智「ああ。いいよ?」
俺はあまりにも淡々としている智を連れ出し問い詰めた。
智「お前、零に何としてでも会社、継がせたいんだろ?」
「そうだけどさ…」
そう、成海家の土地が人手に渡ったなんて話は全くの嘘で、
訳あって、成海さんから俺らが預かることになっていた。
智「だったら、どんな手を使ってでもそういう方向に持っていけるよう、仕向けりゃいいじゃねぇか?って話だろ?何が不満なんだよ?」
「そうじゃなくて!!…自分はそれでいいのかよ?息子が騙されてるのを知ってて知らん顔なんて!?」
智「…人聞きの悪いこと言うなよ?」
智はドアの隙間から何故か賑わしい部屋の様子を盗み見た。
智「親心、って言えよ?」
「親心、って…。」
智は顔を笑った形に持っていこうとするけど、全然うまくいかなくて、ついには俺に背を向けてしまった。
智「俺さ、分かったんだよ。父さんが…実の父親がどうしてあんなにあっさり俺を置いて行ってしまったのか。」
振り向いて壁に凭れかかり大きく息を吐く。
智「親心なんだよ。そうした方が俺にとっては一番の幸せだ、って。」
天井を仰ぎ見たままぽつり言う。
智「だから翔、零のこと…頼むな?」
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