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じんちょうげの花咲く頃

第7章 エピローグ ②



めぐむは俺と智の計画を知らない。



だから、今はまだその時期ではないと何とかめぐむを説き伏せた。



時が来れば、一緒にさせてやるから、と。



そのためにまずは、零を俺の下で働くよう仕向けなければならない。



だが大学卒業後、絵が得意だった零は、絵本を主に扱っている小さな出版社に就職した。



が、そこの給料だけでは期限内での完済は難しいとふんだのか、意外にもあっさり退職し、俺のもとへとやって来た。



零「どうせ、そのつもりで父さんと仕組んだんでしょ?」



…バレバレだった。



そして、良心の呵責に耐えられなかった俺は、智との計画の全てを零に打ち明けた。



すると零は、「父さんらしいね?」と、笑った。



本当に、父親に似ないでよかった、と、



この時ばかりは神様に感謝した。



本人には口が裂けても言えないけど…。



十数年後、零は成海家の土地を無事自分の力で買い戻すことが出来、仕事においては文字通り乾いた砂が水を残らず吸い取るがごとく、俺の下で日々成長していった。



俺は、約束通り零とめぐむの結婚を許し、養子として入ってもらうことも了承してもらった。



こうして、俺が思い描いていたこと全てが恐ろしいぐらいに順調に運んでいった。



もしかしたら、後で凄いしっぺ返しでも喰らうんじゃないか、ってぐらいに。

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