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じんちょうげの花咲く頃

第7章 エピローグ ②



零side


「お前、ほんと潤さんと仲良しだな?」


碧「だって、話しやすいんだもん。」



叔父さんから、この土地の権利書を受け取ってからの僕は、



年に数回、成海家の墓参りのついでにここを訪れては、僕が育った母屋や離れでゆっくり時間を過ごしていた。



この日は成海のおばあちゃんの命日。



碧と二人で墓参りを済ませたあと、掃除をし、母屋の居間で寛いでいた。



碧「落ち着くね?ここ。」


「うん…。」



しなやかな猫のように伸びをする碧に目を細める。



碧「ね、お兄ちゃんのお母さんって、美人だったんでしょ?」


「それ、何回聞くんだって?」


碧「だってぇ、お父さんの恋バナでしょ?キュンキュンしたい年頃なの!」


「はいはい。」



と、黒のワンピース姿でストレッチを始めた自称年頃の女の子に苦笑した。



「碧、話は変わるけど、進学したいんだって?」


碧「…うん。」



途端に歯切れが悪くなる碧。



それもそのはず、碧たち家族の生活は、普通に生活していく上では何の支障もない。



でも、碧がロースクールに行くための費用を捻出するのは難しかった。



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