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じんちょうげの花咲く頃

第7章 エピローグ ②



僕も、たった一人の妹の夢を応援してあげたい気持ちはある。



でも、ここの土地を買い戻すため、叔父に頭を下げた頃とは立場が違う。



重い沈黙のあと、碧が大きく伸びをした。



碧「諦めるのもアリかな?なんて…」



よいしょ、と、勢いをつけて立ち上がる。



「諦めるなんて…らしくないな…」



思わず漏れた本音に口許を押さえるも、僕の言葉は碧の耳にしっかりと掬い採られていた。



碧「…って、言うと思った?」


「え?」



不敵に笑う碧と目が合う。



碧「お兄ちゃん、私ね、ある人と取引したの。」


「取り引き?誰と?」


碧「潤くんに間に入ってもらって、相葉社長と。」

「ええっ!!」



…そんな話、社長からは一言も聞いてない。



一緒にご飯も食べてるのに…。



碧「で、無事、弁護士資格をとった暁には、相葉社長の会社の顧問弁護士を引き受ける、って約束なの。」



まさか、とは思うけど…。


「その話…どこまでの人が把握してんの?」


碧「誰も知らない。潤くんと相葉社長以外。」


「………。」








父さんと叔父さんが目くじら立ててる姿が目に浮かぶ。



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