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じんちょうげの花咲く頃

第1章 じんちょうげの花咲く頃、君と出会う。



息子の僕が言うのも変だけど、母さんは凄く綺麗な人だった。



綺麗なだけじゃなく、料理も上手くて、年齢の割には若々しく、さばさばしていて面倒見もよくて、



特に若いお母さんたちには慕われていた。



もちろん、若いお母さんたちだけじゃなくて近所のお年寄りからも可愛がられていたけど。



学校行事にも一生懸命で、


地元の行事にも進んで参加していたし、男の人顔負けの働きぶりだった。





そんな、自慢の母さんだったけど、



ふと、思うことがある。



そんな母さんが好きになった僕のお父さん、って、


どんな人なんだろう?って。



今までだって、気にならない訳じゃなかったけど、



母さんがいなくなって改めてふと思った。



おばあちゃんは、僕と顔がそっくりだった、という。



叔父さんも、赤ん坊の頃の顔が怖いぐらい似ている、とも。



でも、母さんは、



母さんの口からは何一つ聞いたことがない。



もしくは、記憶にない。



ただ、幼い頃の母さんとの何気無いやり取りの中で垣間見るしぐさや表情が、


今、考えたらそうだったのかな、とも思った。



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