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じんちょうげの花咲く頃

第1章 じんちょうげの花咲く頃、君と出会う。



顔が僕と似ていて、



甘いものに目がなくて、


でも…



僕と母さんを…






…捨てた。



いや、でも、負けん気の強い母さんのことだ。



『私から捨てたのよ?』


って、言いそうだけど…


母さんの遺品を整理していたら見つかった日記。



ふと、思い出して、



母さんの遺品を纏めた段ボール箱を持ち出し日記を取り出す。



変なところでマメな性格の母さん。



日記には通し番号をつけていて、



初めの方は、殆どが僕の育児の記録で、途中で読むことを断念していた。



でも、また、改めて開いてみるとやっぱり、僕の成長の記録簿のような内容に、


また、挫折しそうになった。



そんな中、見慣れない名前を見つけ、そのページ内に暫しとどまる。



『20×× 月日、


樹里さんが我が家を訪れた。』



樹里さん…誰だっけ?



『…これから大野の後を追いかけ日本を出るのだ、と言う。』



大野…って、もしかして父さんのこと?



『彼女に、今でも大野のことを好きなのか、と詰め寄られる。』



母さんはどう言ったんだろ?



『今でも好きだ、と告げた。でも…』



男っぽいけど、丁寧に書き綴った文字を目で追う。


『好きの形が変わったのだ、と付け加えた。』



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