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じんちょうげの花咲く頃

第2章 恋文



でも、これが、



時間が経つとその存在の大きさが身に沁みて分かるようになっていって、





そのうち泣いてばかりいるようになるのかもしれない……。



そんなことを考えながら、



静かに横たわる母さんの傍らに腰を下ろした。



そして、



いよいよ母さんの遺体をセレモニー会館に運ぶことになって、



何か、棺に一緒に納めておきたいものがないかと聞かれて、



母さんの遺品を納めた段ボールを持ち出す。



日記は……僕の手元に置いておきたいし、



ん?何、これ?



赤の、しっかりした装丁の小さなアルバムが出てくる。



中には、赤ん坊の写真と、



赤ん坊を抱いている笑顔の母さん。



それと……



「あ……」



アルバムの裏表紙からはらり、と、小さく折り畳んだ画用紙が零れ落ちた。



何だろ?



広げてみてみると、



スーツを着た男の人と、


頭にヴェールを被った女の人らしき人物を描いた絵が出てきた。



これ…僕が描いたやつ?



画用紙の端っこはボロボロで、



折り目も、何度も折りたたんでいたせいか、少し破れかけていた。



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