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じんちょうげの花咲く頃

第3章 返歌



「ふふふ。キザ。」


「いいんだよ?男前はキザで。」


「自分で言う?」


「言うだろ?事実なんだから。」


「母さん、呆れてるよ?」


「だから、愛想つかされたのかな?」



二人で笑い合っているところへ、



さっき、激怒して家を飛び出していったおばあちゃんが戻ってきて言った。



「ご飯、食べてくかい?」



びっくりして、同時に振り向くと、



おばあちゃんがプッ、と吹き出した。



「アンタたら、一緒の顔しとるね?」



思わず顔を見合わせた僕らを見て声をあげて笑った。



「さっき、畑行って野菜いっぱいとってきたんよ。」



と、両手いっぱいの戦利品を掲げてみせた。



「おばあちゃんが作るトマトの味噌炒め、絶品だよ?」


「トマトの味噌炒め?それって、料理として成立すんのか?」


「うん。あと、キュウリの煮物のあんかけとか、」


「想像できねぇな…」



父さんが呟く。



「とにかく食べてみてよ?」


「ハズレだったらお前、責任とって全部食えよ?」


「ちょっと、さっきから聞いとったら何なん?ハズレ、とか、料理として成立するか、とか?」


「あ……」



父さんはしまった、という顔をした。

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