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じんちょうげの花咲く頃

第3章 返歌



次の日、早いに越したことはない、と、



このことを知った漁協の組合長の奥さんが、



この辺では比較的医療設備の整った大きな病院に連れていってくれた。





「入院…ですか?」


「はい。入院、と言っても、早くに原因が分かりましたので、薬を飲んでもらって、その経過を見たいので…」


「零ちゃん、東京の親戚には連絡したんやろ?」


「はい。でも、早くて明日の昼ごろでないと、とのことだったんで…」



取りあえず、入院手続きを済ませ、



着替えやその他、必要なものを持ってこようと、組合長の奥さんと病院を後にした。





「なあ、零ちゃん。」


「はい?」


「おばちゃんな、思ったんやけど…あ、気ぃ悪くせんといて?今から言うこと、おばちゃんの思うたことやさかい。」



と、奥さんは、前を見つめたまま笑った。



「零ちゃん、東京、行った方がいいがんないか、と思って?」


「でも、おばあちゃんが…」


「今日のこと考えたら、一人にしておかれん、って、思っとるんやろ?そやけど考えてみ?アンタが大学出ました、さあ、地元に帰って就職しましょう言うてここに戻ってきても仕事あると思うか?」


「それは…」


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