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じんちょうげの花咲く頃

第3章 返歌



「え……?」


「言うたやろ?そんな年寄り扱いせんでも今じゃ何でも一人で出来っさかい。零ちゃんは自分のことだけ考えとったらいいんや、って?」


「でも…」



おばあちゃんは、シーツの上に入院に関する書類を一枚一枚チェックしながら、僕の顔も見ずに言った。






「何もあんな言い方せんでも、ねぇ…」


「いいんです。」


「んでも、キヌさんなりに考えてのことかもしれんしね?」



僕もそう思ったから、



さほど傷つかずにすんだんだけど…



でも、ああ言うなら考えてみようかという気持ちが生まれつつあることもほんとだ。



次の日、学校から病院へ直行すると、東京の叔母さんがお見舞いに来てくれていた。



「このまま零ちゃんを、東京に連れてってもいいよ?」


「おばあちゃん!!」



話の流れで、何となくそういう話にはなったけど、




冗談に聞こえないよ…。



叔母さんも苦笑いしてるし。



「澪さん、今日はこっちに泊まってくんやろ?」


「ええ。でも、明日の午前中にはもう…」


「そのまま、零ちゃんを連れてってくれんけ?」


「おばあちゃん!!いい加減にしてよ!」



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