じんちょうげの花咲く頃
第4章 新しい季節へ…
「お帰りなさい。」
「まあ、めぐむ、いつ来たの?パパはあなたがここにいること知ってるの?」
家に着くと、なぜかめぐむちゃんが僕らを待っていた。
「うん。知ってる。」
「なら、いいけど…」
「零ちゃん、どうしたの?顔色悪いけど?」
「何でもないわ?それより何か食べる?」
「私はいいよ?食べてきたし。」
「そう。零くんは?」
「あ…僕は…」
「零ちゃん、私が作ってあげる!」
「あーら、珍しい。お家にいるときは何にもしないのに?」
「や、やってるよ…簡単なことだったら。」
と、二人でキッチンに消えていった。
軽く食事を終えたあと、めぐむちゃんは家につくなり奥へ引っ込んでしまっていたおばあちゃんの様子を見にいってくれた。
「ね…零くん、成海さんの言ってたことだけど…」
「…はい。」
「ねえ、こう考えない?世界にはもっと困っている人がいる。その人たちのためになることは、突き詰めていけば、そのうち成海さんやお世話になった人たちのためになる、って?」
「そのうち、って?」
「零くん?」
「十年?二十年?」
困惑した表情の叔母さんの姿が涙で滲んでいく。
「そんなに待てない…。」
そんなになるまで待たせてたら…
会えなくなっちゃうよ…。
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