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じんちょうげの花咲く頃

第4章 新しい季節へ…



「零くん、ごめんなさい。私が悪かったわ。」



泣き出してしまった僕を宥めているところへめぐむちゃんが戻ってきた。



「零ちゃん、どうしたの?何で泣いてるの?」


「な、泣いてなんか…」


「ママ、零ちゃんに何したの?」


「めぐむちゃん、何でもないから!!」



突然、声を張り上げた僕を、



めぐむちゃんは怯えたような目で見つめてきた。



「ごめん…ほんとに何でもないから。」


「うん…」


「めぐむ、成海さんの様子、どうだった?」


「うん。少し話して、疲れた、って言ってたから肩揉んであげてたの。そしたら少し横になるから、って。」


「そう…」


「めぐむちゃん、ありがと…」


「わ…私は何もしてないよ?ただ、話聞いてあげてただけだし。」


「それでも…ありがと。」



めぐむちゃんは笑顔で首を左右に振った。



「あら、もう、こんな時間。」



叔母さんは慌てて身支度を始めた。



「ねぇ、ママ、ここに泊まらない?」


「何言ってるの?ご迷惑でしょ?」


「ね、零ちゃん、いいでしょ?これから金沢に戻るのも大変だし。」


「そうねぇ…もう、こんな時間だし…」



ちら、と時計を覗き込んだ叔母さんと目が合う。



「あ、僕、今日は離れで寝ますから、よかったらここで休んでください。」



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