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じんちょうげの花咲く頃

第4章 新しい季節へ…



「悪いわね。急にめぐむまで押しかけてきたのに…」



僕は、離れから余っている布団を一組、母屋に運び込んだ。



「じゃ、お休みなさい。」


「待って!零ちゃん。」



離れへ戻ろうとしてめぐむちゃんに呼び止められる。



「あの…成海さんのこと…まだ、怒ってる?」


「どうして?」


「零ちゃんのこと、スゴく気にしてたから。」


「そう…。」


「成海さんも本当は寂しいのよ。」


「分かってる…」



だから、逆に、



いや、むしろ逆に行かないでくれ、って、言ってくれた方がすんなり東京に行く、って言えたかも?って思えた。



「ね、私、考えたんだけど…」


「何?」


「私が、零ちゃんの代わりにここに来ようかな、って。」


「めぐむちゃんが?」


「そ!」


「ちょっと、めぐむ、何言って…」



僕とめぐむちゃんの会話に聞き耳を立てていた叔母さんが会話に割り込んできた。



「だって、パパもママも私の学歴なんか、釣書きに色を付けるぐらいにしか思ってないんでしょ?」


「そ、それは…!」


「で、大学卒業したら、然るべき家の次男坊か三男坊とお見合いさせて婿養子に、って、考えてるのよね?」


「めぐむ……。」


「だったら、少しでも好きな人の役に立ちたいじゃない?」


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