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じんちょうげの花咲く頃

第4章 新しい季節へ…



「え……?」


「めぐむ、あなた…」


「あっ!?」



真っ赤な顔で口許を両手で押さえるめぐむちゃん。



「わ、私、もう寝る!お休みなさい。」



僕は、慌てて母屋に戻るめぐむちゃんと、その後を追うように続く叔母さんの後ろ姿を呆然と見送った。



あれ?今…好き、って、


好きな人、って言ってたような…?



その日の夜、僕は頭が冴えてしまって、一晩中布団の中で何度も何度も寝返りを打っていた。





翌朝、



あれから結局、眠れなくて、



少し早いけど、朝の日課にしているシロとの散歩に出かけることにした。





散歩から戻ると、



待ち構えていたように、叔母さんが離れにやって来た。



「昨日のことなんだけど…」


「はい…」



叔母さんは、緊張した面持ちで話し始めた。



「私はあの子の母親として、娘があなたみたいないい子を好きになってくれたことはとても嬉しく思うわ。亡くなったあなたのお母さんはとてもいい方だったし、お父さんも素敵な方だし…」



でも、と叔母さんは口を噤んだ。



「でもね、家のことを考えると…」



叔母さんが、そこまで言いかけたところで、玄関の戸が勢いよく開けられる音がして、



続けて聞こえてきた複数の足音が、部屋の前で止まった。



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