じんちょうげの花咲く頃
第4章 新しい季節へ…
「零ちゃん、今日はごめんね?」
大事になっちゃって、と、めぐむちゃんは申し訳なさそうに笑った。
「あ…うん、別に平気だよ?それより、叔父さんと叔母さん、どう?」
「う…ん、仲直りしたかどうかまでは分かんないけど、今は波風たてない方がいいかな?と思って?」
「そう…」
「零ちゃん、私ね、やっぱり東京の大学に行こう、と思うの。」
「…そっか。」
「だから、零ちゃんも、パパたちの言ったことは気にしないで地元の学校に進学したらいいと思う。」
短い沈黙の間、
僕らが一歩を踏み出すたびに足元で砂利がざく、ざくと鳴る。
「めぐむちゃん…は?」
「えっ?」
「あ……ごめん。何でもない。」
「そう?」
まだ、大分時間に余裕のあるせいか、
バス停には僕らの他には誰も来ていなかった。
「座ろっか?」
「…うん。」
砂浜から程近い、古い小さなバス停のベンチ。
大人二人がやっと座れるぐらいの大きさのベンチ。
今の僕らが座ったら、僕らの間に殆ど隙間なんてなくて、
この距離は、もう、
幼いいとこ同士のままではいられないのだ、と言われているような気がしてならなかった。
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