じんちょうげの花咲く頃
第4章 新しい季節へ…
「あ…あの…」
「何?」
「昨日言ってた、その…」
「昨日…?」
めぐむちゃんの「好きな人」って誰なのか、聞いていいのかどうなのか、って、
布団の中に入ってからずっと考えてた。
仮にもし、その相手が僕として、
僕はめぐむちゃんを受け止めきれるのか、とか、
僕自身が、
めぐむちゃんをどう思っているのか、とか。
「好きな人がどうとか、って話?」
「えっ!?あっ…!いや…その…」
「…知りたい?誰なのか。」
「いや…無理にとは…」
「じゃあ…私から逆に質問。」
「は、はい。」
「零ちゃんは今現在好きな人はいますか?」
「えっ!?」
テレビのレポーターのごとく、手で象ったマイクを目の前に差し出される。
「どうなんですか?」
イタズラっぽく笑いながら覗き込んでくる顔にどぎまぎしながら、制服のズボンを握りしめた。
「当ててあげよっか?」
驚いて顔を上げると、めぐむちゃんは立ち上がって僕に背を向けた。
「その人のことは小さいときから知ってたけど、つい最近、優しくて泣き虫でまあまあ可愛い子だったんだ、って気付いてしまった。」
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