じんちょうげの花咲く頃
第4章 新しい季節へ…
その日、授業の間じゅう、あの時何て言えばよかったのか、って、
頭の中はもうそればっかりで、
古文の口語訳も数学の問題も、先生がここはテストに出る、と言ったところも何もかもが頭の中を素通りしていった。
「僕はこの地で生きてゆく。」
いろんな人が心配して、いろんな助言をしてくれたけど、
それは紛れもない本心「だった」。
あの時母さんが、徐に僕の目の前に出してきた通帳。
「あなたの今後のために貯めてたのよ。」と、笑顔で教えてくれた。
お父さんのいない子だからって気負う必要なんか全然ないんだ、って。
叔父さんも、条件付きだけど支援を申し出てくれてて…。
母さん…。
「自分のこれからのことを考えなさい。」
おばあちゃん…。
「私やうちの人があんたら親子にしたったことは、可哀想やったからやない!!人として当たり前のことしただけなんや。」
そして、叔父さんも…
「お前のお父さんに、俺の息子にしていいか、って聞いたんだ。そしたら、何て言われたと思う?お前、バカだろ?、って言われたよ。」
そして、めぐむちゃんも…
「私が、零ちゃんの代わりにここに来ようかな、って。」
…決めたよ?
「…あなたの好きにしたらいいわ。」
僕は…
僕の、大切な人たちのために生きてゆく。
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