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じんちょうげの花咲く頃

第5章 じんちょうげの花咲く頃、君に会いに行く



零side



翔「もう、ほっんとに、凶暴なところは健在なんだからなあ…」



父さんに半ば追い返されるように帰国した叔父さんは、



息子の僕の前だというのに父さんへの不満をぶちまけた。



澪「あなたが余計なこと言うからでしょ?」


翔「だってそうだろが!!こっそり墓に埋めようが、今、もってようが、バレたら同じだろ?ホントに海に突き落とすんだから、たまったもんじゃない!」



出された熱々のコーヒーを口にしては、乱暴にカップをソーサーに戻し、叔母さんを睨み付けた。



澪「それにしても良かったこと。零くんが東京に来てくれることになって。」


翔「ホントだよなあ。」



叔父さんは、コーヒーが適温になったかどうかを確認しながら慎重に口に運んだ。



澪「でも、娘とは離れ離れにはなりますけどね?」


翔「そうだな…」


「…すみません。」


澪「零くんが謝る必要なんてないのよ?」


翔「そうそう。俺にとってはむしろ、順風満帆、ってとこだな?」



叔父さんは嬉しそうにコーヒーを飲み干した。



澪「でも、あの子、向こうでやっていけるのかしら?」



叔母さんの呟きに同意するかのように、叔父さんは深いため息をついた。



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