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じんちょうげの花咲く頃

第5章 じんちょうげの花咲く頃、君に会いに行く



翔「めぐむのやつ、どれぐらい出来るんだ?例えばほら、料理とか…」


澪「目玉焼きぐらいは…」


翔「はあっ!?目玉焼き?そんなもん、俺でもできるぞ?」


澪「あら、そうだったんですか?じゃ、近いうちにその腕前を披露していただかないと…」


翔「お前な…」



不適に笑う叔母さんから叔父さんは視線を逸らした。


澪「でも、こんなに早く私たちの元から離れるなんて思ってなかったから、あの子には何も教えてなかったわ。」


翔「俺もだよ…。」



今度は二人で大きなため息をつく。



澪「でも、やろうと思えば頭のいい子だし、出来ないことはないと思うんだけど…」



さっきから二人のため息をつくところしか見ていない。



「あの…僕、やっぱり…」



そう言いかけたとき、二人同時に僕を見て、叔父さんはカップをテーブルに置き僕のすぐ隣に座った。



翔「そんなこと、零が気にしなくていいんだよ?」

澪「そうよ?あなたは私たちの息子も同然ですもの。気兼ねしなくてもいいのよ?」



そう。僕は、東京の大学に受かったら、ここ、叔父さんたちが住む家に住まわせてもらうことになっていて、



その代わり、めぐむちゃんが東京の大学には行かずに、この春から金沢の大学に進学することになっていた。


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